システム思考ってなんなの?その起源と歴史
かなり以前から興味があるシステム思考について
自分なりの理解をまとめてみます。
まずは、そもそもの起源と歴史。
人材開発関係者の間で、システム思考というと、
下記のピーター・センゲ先生の『学習する組織』(原題 fifth dicipline 1990年)
- 作者: ピーター M センゲ,Peter M. Senge,枝廣淳子,小田理一郎,中小路佳代子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2011/06/22
- メディア: 単行本
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でdisciplineの一つとして挙げられていて、組織開発、思考法の一つとして広まったと思います。
源流をたどれば、下記の「一般システム理論」に行き着きます。
元々の提唱者はルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィ
- 作者: L.フォン・ベルタランフィ,長野敬,太田邦昌
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1973/07/11
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生物学者であった彼は、分解して分析したり、直線的な因果関係を重視する当時の諸科学に対して批判的であり、様々な複雑な対象(システム)を分析する枠組みとして一般システム理論を提唱しました。
同時期に、数学者であり、情報通信学者であったウィーナーが「サイバネティクス」を提唱しました。あの「フィードバックループ」の元ネタです。最近岩波から本が出ました。
ウィーナー サイバネティックス――動物と機械における制御と通信 (岩波文庫)
- 作者: ノーバート・ウィーナー,池原止戈夫,彌永昌吉,室賀三郎,戸田巌
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 文庫
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サイバネティクスは理系の方にはおなじみ(?)の制御工学なんかの元ネタです。
一般システム理論は、サイバネティクスも統合しながら、発展していったそうです。
もともと、一般システム理論は、単一の科学分野というよりも諸科学への応用を意識していたそうなので、理系、社会科学問わず、様々な分野に広がっていきました。
社会システム理論とか、カウンセリングのシステム学派とか、、、
一般システム理論が、どうして「システム思考(シンキング)」になったのかは僕は分かりません。
ただ、僕が尊敬してやまないジェラルド・ワインバーグ]による下記の書籍(1975年出版)では「一般システム思考(an Introduction to General System Thinking)」という表現をしています。
- 作者: ジェラルド M.ワインバーグ,松田武彦,増田伸爾
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1979/06/01
- メディア: 単行本
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この本の目的は複雑な数学を適用し、一般人の手に届かないものになってしまった一般システム運動を普通の人の役に立つように説明する、ってことをだと説明されています。本当に徹頭徹尾、思考法の本です。
センゲの著書が1990年だということを考えると、すでに高度な科学ではない思考法としてのシステム思考は、90年代には結構一般的だったのかもしれません。
また、その後、生物学者のフランシスコ・バレーラのオートポイエーシス理論(理論そのものは70年代)なども取り入れられてシステム理論(システム思考)は発展してきました。
ワールド・カフェのアニータ・ブラウンも著書の中で、バレーラに言及していました。
オートポイエーシスも、ちょっと古い理論として、ホメオスタシスも、生物の生態から抽出され、システム一般に適用できるとされた理論です。
システム思考はかなりの部分、生物学とコンピュータ科学(ウィーナー)の知見が中心になって組み立てられているって印象です。
まあ、長い歴史があり、さらにいろんな分野で利用されているので、正直、何がシステム思考なのか理解するのは大変です。チェンジエージェントの小田さんにちょこっと聞いたところ、システム思考の学派は本当に乱立状態だそうです。
とは言え一部で話題の21世紀型スキルの中でも重要な要素となってしまっています。
http://wvdeskills21.wetpaint.com/page/Thinking%2C+Reasoning+and+Innovation+Skills
この業界にいる以上、自分なりの考え方を持っておくということは大切かと思います。
自分の考えはまた別の機会に。